医療法人・病院M&Aにおける買収価格の算定
病院のM&Aにおいて、基本合意に達するまでの最も重要な交渉項目は買収価格です。
買収価格算定の出発点は、買収ターゲットのビジネスの価値ということになりますが、その価値を査定するための絶対的な原則というものは存在しません。
しかし、一般によく用いられる評価方法は存在し、病院のM&Aの場合も下記の3つの方法が、現在最も一般的に用いられる評価方法です。
- 資産基準+営業権方式
- 時価純資産額+営業権(資産基準+営業権)方式は、基本的には資産の再取得価格を基準に、現在の法人純資産の時価を推定する(ストック)考え方に法人の将来の収益価値を推定する(フロー)考え方を考慮して法人の現在価値を算定する方法です。実際のM&Aの実務では、買収ターゲットの有形及び無形資産の時価から負債を差し引いて法人の純資産の現在価値を算定し、これに別途、営業権の存在の判定・価値評価を行い、加算するという方法をとります。この評価方法は、中小病院のM&Aの法人価値算定の方法として最も多く採用されており、法人の貸借対照表をベースに損益計算書をもとにした収益面での分析・評価を詳細に行います。
詳しくはこちら - 買収事例比較方式(市場基準方式)
- 買収事例比較方式(市場基準方式)とは、文字通り市場における取引価格を参考にして資産の評価を行うものです。90年代に入り、米国のみならず、欧州、日本、アジアにおいてM&が単にブームではなく、一種の市場を形成するようになりました。つまり、様々な業種(病院も例外ではない)の企業の売買取引が数多く行われ、それらが新聞、専門誌を通じて、取引のかなり詳細な内容が公開される傾向が根付いてきました。その結果、買い手と売り手は類似取引を参考にする方法が可能となってきました。この評価方法は、買収事例比較方式(市場基準方式)と呼ばれます。
詳しくはこちら - DCF方式(収益基準方式)
- DCF方式(収益基準方式)は、資産から得られる将来の一定期間の予想利益とその後の余剰価格をベースとして評価します。この評価方法は、ディスカウント・キャッシュ・フロー方式と呼ばれ、しばしば略してDCF方式といわれます。この評価方法は、どちらかというと動態的な考えに立っており、買収ターゲットの事業計画に基づく予測損益計算書が基礎となります。
詳しくはこちら - 買収価格算定における重要留意事項
- 買収価格算定で重要となる情報には、内部的情報と外部的情報の2種類あります。内部的情報では、買収ターゲットそのものの事業内容や財務に関する情報を指し、外部的情報とは、その買収ターゲットの属する業界、市場などの外部環境に関する情報を意味します。
買収価格算定を行うに際しては、必ず買収ターゲットそのものとその事業の属する産業とを分析・研究する必要があります。 - 病院の買収価格算定におけるリスク分析
- 病院の買収価格算定においても、リスク分析はしばしば重要な役割を果たします。リスクを質的リスクと量的リスクに大別して具体例を列挙すると以下のようになります。
- a.質的リスク
- ・患者が特定の医師に偏在している
- ・ワンマン理事長や理事等、少数の経営陣への経営の依存
- ・医療行政への対応状況
- ・病院の所在地等、地理的な状況
- ・競合医療機関の状況、分布
- ・職員の保有能力、勤務の状況
- ・医療訴訟の有無
- ・財務の状況(簿外債務等)等
b.量的リスク- ・他の医療機関よりも高い損益分岐点、又はキャッシュフロー分岐点
- ・他の病院よりも高い人件費率
- ・赤字病院
- ・少ない有形資産
- ・低い利益率等
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